特定防火対象物などに関する問題と覚え方(法令…共通)
テキストP15~p16
❶消防法ってどんなもの?
本題に入る前に、「消防法」とは何かについて説明します。
消防法第一条に、
「この法律は、火災を予防し、警戒しおよび鎮圧し、国民の生命、身体および財産を火災から保護するとともに、火災または地震などによる被害を軽減し、もって安寧秩序を保持し、社会公共の福祉の増進に資すること」とあります。
ここでポイントは、次のようになります。
■ 火災が起こらないように予防する
■ 人の命や財産を火災から守る
■ 火災が起こったとき、火災による被害を少なくする
➡防火を目的とした法律
❷用語に関する問題
【レポート問題集 問1~問2】
■ 防火対象物
山林、舟車(しゅうしゃ)、船きょ、ふ頭に繋留(けいりゅう)された船舶、建築物、その他の工作物若しくはこれらに属するもの
【覚え方】「ぼうかぞく=ぼうそうぞく」
■ 消防対象物
山林、舟車(しゅうしゃ)、船きょ、ふ頭に繋留(けいりゅう)された船舶、建築物、その他の工作物、または物件
【覚え方】「しょうぼうぶっけん=しょうもないぶっけん」
■ 舟車(しゅうしゃ)
船舶安全法の適用を受けない船舶、端舟(たんしゅう=小舟、ボート)、はしけ(大型船と陸との間を往復して乗客などを運ぶ小舟)、その他の舟および車両
■ 関係者
防火対象物、消防対象物の所有者、管理者、占有者
■ 無窓階
建築上の地上階のうち、避難上または消火活動上、有効な開口部を有しない階
❸特定防火対象物と非特定防火対象物
【レポート問題集 問3】
【覚え方】特定防火対象物と非特定防火対象物は以下のように分類して覚えてください。
■ 特定防火対象物
■ 非特定防火対象物
■複合用途防火対象物
同じ防火対象物に、政令で定める2以上の用途が在するもの
❹防火管理者
【レポート問題集 問5~問6】
防火管理者の業務は重要
■ 火災事例より学ぶ
2009年、東京都杉並区高円寺の居酒屋「石狩亭」でおきた火災は、客と従業員4人が死亡、客の男女10人が窓から飛び降りて足の骨を折るなどの重軽傷を負いました。
調理場のガスコンロから火が上がり、壁などに付着した油に引火し、天井に張ったあった装飾用の布に燃え移って、店全体に火が回ったとみられています。
(日本経済新聞記事より)
ここまでの大惨事になった原因は、
・使用期限が切れた消火器が置かれていた
・自動火災報知設備が作動しないまま放置されていた
・避難口の扉の前に座布団が積み上げられていた
ということから、居酒屋の経営者、ビルを所有する社長、ビルの統括防火管理者が業務上過失致死傷の容疑で逮捕されました。
■ 防火管理者の業務とは?
・消防計画の作成
・消火、通報、避難訓練の実施
・消防用設備などの点検、整備(点検などで資格のいるものは、消防設備士などに依頼)
・火気の使用、取り扱いに関する監督
・収容人員の管理
・避難、防火上必要な構造、設備の維持管理
石狩亭火災では、防火管理者が「消防用設備の点検、整備」と「避難、防火上必要な構造、設備の維持管理」の業務を怠りました。
■ 防火管理者を定めなければならない条件は?
特定防火対象物 30人以上
非特定防火対象物 50人以上
【覚え方】ぼうさんごめん
【例】同じ所有者で同じ敷地内にある、収容人員各30人の2棟のアパートについては、
アパート 非特定防火対象物
収容人員 収容人員 30人+30人=60人
で、50人以上となるので、防火管理者を定めなければならない。
❺統括防火管理者
【レポート問題集 問7】
■ 統括防火管理者の選任が必要なもの
・高さ31mを超える建築物(高層建築物)
・地下街(消防庁、消防署長が指定するものに限る)
・特定用途を含む複合用途防火対象物で、地階を除く階数が3以上かつ収容人員30人以上(両方の条件を満たす)
・特定用途を含まない複合用途防火対象物で、地階を除く階数が5以上かつ収容人員50人以上(両方の条件を満たす)
【例】ラーメン店(収容人員30人)、居酒屋(収容人員30人)、インターネットカフェ(収容人員30人)からなる複合用途防火対象物は、
特定用途を含む複合用途防火対象物
地階を除く階数が3
収容人員90人
で、地階を除く階数が3以上、収容人員30人以上と両方の条件を満たすので、統括防火管理者を定めなければならない。